「当選確率が2倍に!」の解釈

MacBook Air 11インチ欲しい!」のキャンペーンページに,

はてなブックマークを使って当選確率UP!

さらに、このキャンペーンページをあなたのはてなブックマークに追加すると、当選確率が2倍に!この機会にぜひはてなブックマークもご利用開始ください。

※ブックマークだけでは応募できません。応募には、ダイアリーの投稿が必須となります。

MacBook Air 11インチ欲しい!

と書いてあって, この意味を誤って解釈したせいで2倍になる理由がわからずに悶々としたので, どう誤ったか, 本来はどういう意味なのかまとめておく.

前提条件

1名の当選者は, 「少なくともダイアリーを書いた人」のリストに, 「ブックマークもした人」のリストを加えたリストからランダムに選択して決めるとする. つまり, 「ダイアリーに書いただけの人」は1口だけの応募, 「ブックマークもした人」は2口の応募と見做す.

誤った解釈

...に追加すると、ブックマークに追加しなかった場合と比べて、当選確率が2倍に!

この解釈だと2倍にならない.

ブックマークに追加しなかった場合の「少なくともダイアリーを書いた人」の人数をD_1人, 「ブックマークもした人」の人数をB_1人とする. この場合, 自分はD_1人の方に含まれていて, 当選確率は

\frac{1}{D_1+B_1}

となる.

ブックマークに追加した場合, 「少なくともダイアリーを書いた人」の人数はD_1人のままで, 「ブックマークもした人」の人数はB_1+1人になり, 自分はD_1人とB_1+1人の両方に含まれていて, 当選確率は

\frac{2}{D_1+B_1+1}

となる. 分母に1が加算されている分, 「2倍」よりは少しだけ低い確率になってしまう.

正しい解釈

...に追加すると、ダイアリーに書いただけの人と比べて、当選確率が2倍に!

この解釈なら正しい.

「ダイアリーに書いただけの人」の人数をD_2人, 「ブックマークもした人」の人数をB_2人, それぞれの人の当選確率をp_D, p_Bとする.

「ブックマークもした人」の当選確率は, 「ダイアリーに書いただけの人」の当選確率の2倍だと言っているので,

2p_D = p_B \qquad \cdots\;(1)

でなければならない. 「ダイアリーに書いただけの人」と「ブックマークもした人」それぞれのうち当選する人の人数の期待値はD_2p_D人とB_2p_B人で, 全体では1名だけが当選するので,

D_2p_D + B_2p_B = 1 \qquad \cdots\;(2)

が成り立っていなければならない.

(1)と(2)からなる連立方程式

\begin{array}{lcl} p_D &=& \frac{1}{D_2+2B_2} \\ p_B &=& \frac{2}{D_2+2B_2} \end{array}

という一意な解を持つ. さらに, p_D, p_Bの分母のD_2+2B_2は, 「少なくともダイアリーを書いた人」の人数(D_2+B_2人)と「ブックマークもした人」の人数(B_2人)を合わせたものになっており, p_Dの分子は, 「ダイアリーに書いただけの人」は1口, p_Bの分子は「ブックマークもした人」は2口ということを表し, 前提条件にも合致する.

従って, 確かに「ブックマークもした人」の当選確率は「ダイアリーに書いただけの人」の当選確率の2倍になる.

感想

結果的には確かに「ダイアリーに書いただけ」の他人と比べれば当選確率が2倍になっているけれど, 「ダイアリーに書いただけ」だったかも知れない並行世界の自分と比べると2倍にならないので, 「今自分はどう行動すべきか」と考えているときに「2倍になりますよ!」と言われたら「え, ならないじゃん」と勘違いしても仕方ない気がする. 「ブックマークにも追加することで2口応募できます」とだけ言われればすんなり受け入れられたのに......